手触りが豊か。ぬくもりがある。
つくり手の顔が浮かぶ。思いも寄らない
変化が楽しい。
だからわたしたちは、工芸が好きだ。
でも、だからといって。
“効率”は軽いだろうか。“均質”だと冷たいだろうか。
安定して量産するノウハウや、高度な技術は、
伝統や文化にも裏打ちされた工芸に、
かなわないだろうか。
HEGEは工業製品だ。
つくるには機械が必要で、でも同じくらい、
ひとの力が必要だ。
その美しく繊細な曲面を成型するには、
精緻なプログラミングがものをいう。
その美しさをすべての製品に漏れなく宿すため、
その日機械を動かす技術者が、
自分のやりかたで調整する。
眼で見て、手を動かしながら。
長年の感覚を信じながら。
工業の発展や社会の成熟にともなって、
環境やひとのからだの安全が、
厳しく求められるいま。
しかるべく、ものづくりには制限が課されてきた。
ところが日本の工業技術と技術者たちは、
ここぞと、誇りや魂を込めに込める。
できることは狭まったはずなのに、
むしろ質は高めようと、知恵と工夫を凝らして。